箱根御膳 仙石宇京
これまで本誌が取材してきた御食事処の中で思い出深いお店の一つに仙石原にある箱根御膳 仙石宇京があります。
最初に訪問したのは記録によると2019年10月28日。箱根観光情報新聞創刊号の取材をするために仙石原にやってきた時にお昼をいただきにふらりと寄って、看板メニューの「箱根御膳」をオーダー。鴨肉の上にとろろが乗った丼。出汁が利いていてとっても美味しかった。
早速、翌年初めにオーナーを取材。オーナーは2003年、55歳の時に勤め先を早期退職して箱根に移住、現在の場所に「宇京」をオープン。
最初は鹿児島の豚肉と鶏肉を使ったどんぶり屋だったが、注文が多かった蕎麦、うどんをメインにしたメニューに変更したことや素材も大切だが、出汁も良くなければ美味い食事はできないが持論であることなどのお話を伺い、その記事を同年の秋号に掲載しました。
記事をご覧になったお客様からこのお店に連れて行って欲しいとご要望があり、お連れしたこともありました。
しかし、その後、新しいお店が次々と開店するなど取材で忙しくなり、少し足が遠のいていました。
昨年、久しぶりに入店してメニューを見るとその中にあの「箱根御膳」が見当たらない。スタッフの方も忙しそうで声をかけられず、ホームページへの記事掲載も念のため控えていました。
2025年10月31日、最初に訪問してから丸5年。お客様が少なくなったであろう午後2時過ぎに入店。懐かしい店内。懐かしいメニュー。
でも、あの「箱根御膳」は見当たらない。今回は「うなぎ白醤油御膳」をオーダー。お醤油と山葵でいただくうなぎです。
オーダーした後、スタッフの方に「オーナーはいらっしゃいますか?」と声をかけるとすぐに調理場からやってきて顔を見るなり「久しぶりじゃない。どうしてたのよ。」「あー,最近取材とかで忙しくて・・・。」5年前、取材でお会いしただけなのにこんなに覚えてくださってるなんて嬉しいですよねぇ。ちょっと世間話をした後、「じゃ、うなぎ焼いてくるから。」
しばらくすると大きなうなぎが目の前に。お醤油と山葵でいただくうなぎは初めてでしたが、あっさりしていてとても美味しかったです。
食事の後、再びオーナー登場。「どうだった?」「あっさりしていて、美味しかったです。欲を言うと山葵がもうちょっと欲しかった。」
スタッフの方も頷いてました。
ところで、なぜ看板メニューの「箱根御膳」がメニューからなくなったのかが気になります。そこで質問。すると・・・、
「当時の食材が手に入らなくなって、同じ味で提供ができなくなったんだよ。味に拘ってるからね。」「やっぱり味に拘ってるんですね。」
5年前に聞いた味への拘りを今でも続けているお店でした。
お蕎麦やおうどんも美味しいお店。しかも比較的リーズナブルな価格設定。とろろが乗ったメニューが特にお薦めです。
※上記内容は本紙2020秋号第一版・第二版に掲載した記事と2025年10月31日に箱根観光情報新聞facebookに投稿した記事に
加筆修正を加えたものです。
箱根御膳 仙石宇京
