名旅館を母体とするカフェ
NARAYA CAFE
箱根の中心宮ノ下には富士屋ホテルと言う箱根を代表するホテルがあるが、2000年までは富士屋ホテルの向かいに、300年も続いた奈良屋旅館と言う名旅館があった。日本建築や洋館など様々な建物が敷地に点在する庭園旅館だった。
富士屋ホテルが開業して競争が激しくなったため、明治中頃には富士屋ホテルが外国人専用、奈良屋旅館を日本人専用とする協定を結んだことは有名な話。戦後も多くの政治家が定宿として利用し、記者会見の舞台になったこともある。
2001年に相続などの問題で閉館となり、現在は大型のホテルとなっているが、末裔となる安藤氏ご夫妻が日本のリゾートの歴史が息づく宮ノ下の地に新たな交流の場を作りたいと考え、プロジェクトをスタート。宮ノ下駅前の50年を超える古い建物を改装して2007年にカフェをオープン。お店の名前は「NARAYA CAFE」。
敷地の中央には奈良屋旅館時代の源泉を利用した足湯があり、その周りにカフェ、ギャラリー、ショップがある。ショップ2階には器のコーナーがあるが、展示されているのは奈良屋旅館で使われていた器の数々。
コーヒーと足湯を楽しみながら箱根の歴史を感じることが出来るカフェだ。
※上記内容は本紙2022冬号第一版・第二版に掲載した記事に加筆修正を加えたものです。