ラリック美術館


~宝飾・ガラス工芸の巨匠の作品を堪能できる美術館~

 箱根仙石原に本紙編集長にとって思い出深い美術館がある。ラリック美術館だ。
 本紙創刊号にあたって、名刺一枚とカメラだけを持って最初に取材をさせていただいた。今回、その時の広報のご担当者と六年ぶりに再会、その場で現在のご担当者をご紹介いただき、2度目の取材が実現、貴重なお話を伺うことができた。
 さて、ルネ・ラリックは一九世紀後半から20世紀半ばまで宝飾・ガラス工芸家として活躍した。当初は曲線と装飾美のアール・ヌーヴォー後半は直線と機能美が特徴のアール・デコの様式を取り入れて成功した。二つの様式で成功した作家は少ないと言われている。
 子供の頃から絵の才能が認められ、10代半ばで美術学校、工房で技術を学び、二二歳の時に独立してカルティエなどの高級宝飾店にデザインを提供していたらしい。
 左右非対称のジャポニズムの影響を受けたことや自由な造形が可能なガラスを取り入れたこと、さらに石の品質よりも芸術性を重視したデザインが特徴だった。
 1900年のパリ万博に宝飾品を出品してグランプリを受賞して名声が確立。
 その後、香水商フランソワ・コティの依頼で香水瓶のデザインを手がけた。
 当時、香水は上流階級のもので、量り売りが基本。大量に買い付けた香水を小さな容器に入れ替えて使っていた。
 ラリックはおしゃれな香水瓶をデザイン。この香水瓶に入れた香水が店頭に並んだことにより、香水が一般の庶民にも手が届くようになったそうだ。
 ラリック美術館ではルネ・ラリックの芸術家としての変遷を感じることができるだろう。
 館内にはレストランやショップの他に一九二八年にラリックが内装を手掛けたオリエント急行の車両が設置されており、室内装飾を楽しみながらちょっと贅沢なティータイム(四〇分)を過ごすことができる。ご利用の場合はレストランフロントで予約が必要だ。なお、レストランとショップは美術館に入館されなくてもご利用できるので、ランチとショッピングで立ち寄るのも楽しそうだ。

※上記内容は本紙2026春号第一版に掲載した記事に加筆修正を加えたものです。