夏の散策は千条の滝がお薦め
小涌谷には千条の滝(ちすじのたき)と呼ばれる小さな滝がある。夏の散策にはお薦めなので紹介しよう。
箱根登山鉄道小涌谷駅から舗装されたなだらかな坂を15分程登ると道は二股に分かれる。左側の道の横に千条の滝と書かれた標識があるので、標識に従って進もう。6~8分程で目の前に幅20メートル、高さ3メートル程の滝が現れる。4万年前に神山が崩れた時に堆積したものらしい。岩肌を幾筋もの水が流れ落ちる姿から千条の滝と言う名が付いた。
この滝の存在は長い間、ほとんど知られていなかったが、大正の初めに榎本恭三と言う人物が、この滝の素晴らしさを伝えるために周辺の道を整備したことから、広く知られるようになったそうだ。現在は存在しないが当時は滝の周辺に茶店があり、賑わっていたらしい。今は深い森に囲まれた滝で涼しさを感じながら、静かに時を過ごすことができるに違いない。
滝を楽しんだら来た道を戻る。標識のある分岐点を左に曲がり、坂道をさらに15分程登ると国道に出る。向かい側に見えるのは箱根小涌園三河屋旅館だ。千条の滝周辺の道を整備した榎本恭三氏が1883年に創業した三河屋旅館を前身とする宿だ。現在は藤田観光株式会社が運営している。11時から14時までの時間帯は本館2階のラウンジが三河屋カフェとして営業している。晴れていれば、外輪山を眺めながら珈琲や抹茶のセット、かき氷などを楽しむことができるので、お薦めだ。また、館内の一部は見学も可能。古い旅館が持つ独特の雰囲気を堪能することができるだろう。
※上記内容は本紙2024夏号第一版に掲載した記事に加筆修正を加えたものです。