SORAKAZE

芦ノ湖に浮かぶ緑の公園を楽しむ

 今年の春、芦ノ湖で新しい船が運航を開始した。 
船の名前は「SORAKAZE」。現在、同船を運航しているのは富士急行グループの箱根遊船株式会社。
 この事業はかつては西武グループの伊豆箱根鉄道が運営していたが、昨年春に同社から富士急行へ譲渡された。「SORAKAZE」は日本鋼管鶴見造船所で建造され、1985年に竣工した「はこね丸」に大幅なリノベーションを施して運航を再開した双胴船。双胴船には揺れにくい上にデッキが広いなどの特徴があり、芦ノ湖で船旅の気分を満喫するのにピッタリの船だ。
 外観は和のテイストを表現するために水引が描かれている。真っ白な船体にリボンのような赤い水引がとても可愛らしい。船内のデザインはJR西日本の「WEST EXPRESS銀河」のデザインなどを手掛けた川西康之氏によるものだ。コンセプトは「芦ノ湖に浮かぶ公園」。
「箱根は、子供が遊ぶところが少ないので、船を公園にしようと言う発想」らしい。元々の定員は700名だったが、550名まで減らし、スペースを贅沢に使って、靴を脱いで上がれるキッズスペースや小上がり、ブランコ風ベンチやハンギングチェアなど様々な空間や設備が用意されている。さらにデッキには本物の芝生が植えられており、公園の雰囲気を演出している。芝生は人工芝をひくことも検討したらしいが、川西氏が自然に対しての配慮から本物の芝生を植えることを主張して実現したらしい。航路は箱根関所跡港→元箱根港→箱根園港。一周は約40分。  元箱根を出航すると右舷に箱根神社の鳥居や駒ケ岳、赤い屋根の山のホテル、日本建築の龍宮殿などが次々と現れて目を楽しませてくれる。船内を歩いて気に入ったスペースでまったり過ごすのも良さそうだ。

 本紙編集長は「晴れた日に乗船して、一階のショップで富士山くずキャンディソーダを買って、小上がりで景色を眺めながら楽しみたい。」とコメント。なお、富士急行としては湖尻港までの延長運航を目指しているとのことで、今年度は繁忙期に試験的な運航を検討している模様。決定次第、ホームページで告知するとのことだ。
 納涼花火観覧船など夏の芦ノ湖ならではの企画も紹介されているので、この夏、箱根にお越しの際は是非、箱根遊船㈱のホームページをチェックして欲しい。

※上記内容は本紙2024夏号第二版に掲載した記事に加筆修正を加えたものです。