第24話 日本語がお上手です


 

日本語がお上手です

 この話はかなり前の話です。タクシーの乗務員を始めて1年目くらいの頃、仙石原の宿にお迎えに伺い、箱根湯本出来まで中年のご夫婦をお送りしました。旦那様は私の箱根移住の話が面白かったらしく、移住先をなぜ箱根にしたのかなどいろいろとご質問をされました。
 旦那様と私が移住の話題で盛り上がりすぎてしまい、奥様はなかなか会話に参加できない状態。
 ところが一瞬、会話が途切れた時に奥様が口を開きました。

「でも、日本語がお上手ですよね。」

 私も旦那様も何の話か分からず、一瞬の沈黙。
 しばらくすると旦那様が意味が分かったらしく、

「話聞いてた?運転手さん、会社で管理職やってたって言ってたじゃん。」

 なるほど、移住って言ったから外国人だと思ったんだ。車内は大爆笑。

「運転手さん、ごめんなさい。私・・・。」
「いえいえ、分かりずらい説明でしたよね。」

 その後、しばらくの間、移住という言い方は誤解を招くと思い、引越と説明していましたが、やっぱりインパクトに欠ける感じ。
 1週間程で移住という言い方に戻しました。でも、それ以来、外国人と間違えられたことはないなぁ。

※画像は2016年11月頃、宮ノ下のお店のショーウインドーで見つけたディスプレイです。