編集長の思い出 第7話 お蕎麦屋さんの焼き魚定食

この仕事をしているとテレビ局の取材を受けることがあります。2019年5月に大涌谷のガス濃度が上昇して立ち入り禁止になった時にも強羅駅前にテレビ局のクルーがやってきて、お店の方やタクシー乗務員に取材。私も取材されてその姿が夕方のテレビで放送。知り合いがビックリしたとメールしてきました。
さて、3年位前だと思います。在京のテレビ局のディレクターとカメラマンがやってきて、「運転手さんのお薦めのお店に連れて行って欲しい。」と。今は定番になっているあの番組。今は美味しければ何でもOKの乗りですが、当時は乗務員とお店の人が知り合いでなければならないと言うルールが存在。今よりもかなりハードルが高かった。しかも、コロナで休業だらけの時代。
他の乗務員が断る中、お鉢が私に。
ディレクターが
「このお店に連れて行って欲しいんですけど。お店の人ご存じですか。」
「オーナーご夫妻と知り合いです。でも、混んでると思いますよ。」
「大丈夫です。」と言うことで仙石原へ。ところがお店の前に着くとまさかの臨時休業。
「それでは、美馬さんのお薦めのお店で結構です。」
「この近所ならお蕎麦の美味しいお店がありますよ。」
「ごめんなさい。お蕎麦は長野で、ラーメンは宇都宮でやったからダメなんです。寿司もダメだなぁ。」行きつけの寿司屋はないけど。
「お蕎麦屋さんの裏メニューに焼き魚定食があって、めちゃ美味いんですけど。」
「それそれ。それで行きましょう。」と言うことになってお蕎麦屋さんにディレクターが電話。通常は取お断りらしいのですが、タクシー乗務員の紹介ならばと言うことで、閉店後の取材がOKになりました。
15時過ぎに入店。女将さんが「あー、紹介したのあんたなのね。で、何食べるの?」
「焼き魚定食をお願いします。」ディレクターも「私も焼き魚で。」
途端に女将さんが
「あんたたちね、蕎麦屋に来て二人とも焼き魚を食べるってどういうこと!」とお叱りが。
ディレクターが事情を説明して、「まっ、しょうがないか。」と言うことになって二人とも焼き魚がOKに。
美味しかったし、面白い画像と音声が取れてみんな大満足。女将さんも「焼き魚多めに仕入れとかないと。」
しかし、その1週間後、ディレクターから電話があり、「東北の乗務員の話が長くなって、尺が足りなくなった。」と言うことでお蔵入り。
「次回、また宜しくお願いします。」と言われましたが、まだ、次回の連絡がきていません。でも、女将さんとの絆は深まりました。とさ。