編集長の思い出 第5話 看護師の皆様の休日

 

 

 コロナが少し落ち着いた2022年初め頃だったと思います。夕刻、箱根湯本駅で女性4名の方が乗車されました。
 行先は桃源台のホテルです。同じ職場で、一人の方が残業で出発が遅れたようです。
 会話の内容から病院にお勤めのご様子です。多分、看護師の方。会話が一段落したところで、
 「皆さん、今日はお仕事だったんですね。お疲れ様でした。」
 「運転手さん、私たちなんの仕事してるか分かります。」
 「えっ、看護師の方ではないんですか。」
 「何で分かったんですか。私たち気を付けてたんですけど。」
 「だって、病棟とか、オペとか、ドクターって言葉は普通のOLの方は使わないですから。」
 「そっかぁ。もっと気を付けないといけないなぁ。でも、運転手さん、なんとも思わないんですか。」
 どうやら、都内では一部のタクシー乗務員が病院関係者の乗車を敬遠しているとのことで家まで歩いて帰ることもあるらしい。
 4人は同期でみんなが揃うのは2年ぶり。
 今日は婦長から「みんな頑張ってきたから、今日は羽を伸ばして来て。」と送り出されてきたとのこと。
 「全然気になりませんよ。それよりも皆さんは大変なお仕事をしてきたんですから、今日は箱根の温泉と食事を楽しんでくださいね。」  「ありがとうございます。そう言ってくれると嬉しいです。」そう言って降車されました。

 思いっきり箱根を楽しんで欲しい4人組の看護師の方でした。