編集長の思い出 第21話 外国語対応?

外国語対応?
この数年、箱根にお越しになるインバウンドのお客様の急増で、ジャパニーズオンリーの私の営業車に外国人のお客様がお乗りになることが多くなりました。時には1日にお乗りになるお客様の8割以上が外国からのお客様と言うことも。
元々、外国語は超が付くほど苦手な私。走行中でなければ、スマホの出番なのですが、走行中に話さなければならないこともある。
背に腹は代えられないので、少しずつ英語を話せる?ように日々努力しています。
最初に話したのは、ご乗車される前の確認事項です。
「ハウメニー ピープル?」「ハウメニー ラゲッジ?」「ホエアー アー ユー ゴーイン?」
この三つが話せれば、お客様をお乗せして目的地に向かうことができます。
それから、
「ディス イズ フジヤホテル。フジヤホテル イズ モースト フェイマスホテル イン ハコネ。エスタブリッシュド1878イヤー。」と言う説明。
強羅の担当なので、箱根湯本駅や小田原駅に向かうお客様をお乗せして宮ノ下の富士屋ホテルの前を通ることが1日に何度もあります。
その時に後部座席から「beautiful!!」「wonderful!!」と言う言葉が聞こえてくることが度々あります。時には「what is
this?」と聞いてくるケースもある。何か答えないと・・・と苦肉の英語を口にしたところ、これが意外に通じて、感謝してくれた様子だったので、それ以来、尋ねられた場合はこの英語で説明しています。時には聞かれていないのに説明しちゃうことも。
最近では強羅から宮城野に下る前に「プリーズ ビー ケアフル スティープ ダウンヒル。」と一声。
「thank you.」と答えてくれてシートベルトもしてくれるので、大変便利に使っています。
それから、ある日の夕方、森に囲まれたホテルにアメリカ人らしいお二人をお連れした時、その環境がお気に召したようで、お二人は大喜びでどうやら「チェックインしたら散歩に行こう!」と話されているご様子。箱根に住んでいたり、箱根で仕事をしている人には常識的なことですが、箱根の夜はイノシシに出会うこともあります。何とかそのことを理解させないと・・・と言うことで発したのは
「トゥデイ ユー ステイ ホテル イズ ベリー サイレント ロケーション、バット ナイトタイム ウォーキング NG、ワイルドボアウォーキング ナイトタイム、デンジャー。」と言う英語。これも意外と通じたようで、
「thank you that's dangerous. I'll take a walk tomorrow morning.」(多分、こんな感じの英語だったと思う)と答えが返って来て、笑顔で降りて行かれました。これからも少しずつ、英語のレパートリーを増やしていこうと考えています。
さて、ここまで、英語対応の話をしてきましたが、丁寧な運転や心遣いは言葉を使わなくても通じるようで、降車される時に大変感謝されることがあります。
昨年の秋、箱根湯本駅からお二人の外国人の方がお乗りになりました。行先は芦ノ湖の湖畔のホテル。旧道で行くのが近道。
「ワインディングロード OK?」と尋ねるとOKと答えられたので、旧道を進みます。途中「七曲り」と言う難所?も丁寧に走行。
ホテルに着いてお支払いが済み、荷物をホテルのスタッフに渡すと旦那様と奥様が並んで私のほうを見ています。
近付いて行くと旦那様が手を差し出され「thank you verymach,nicedriving.」とおっしゃいました。慌てて手袋を外して両手で握手。
咄嗟に
「アイムソーリー アイ セレクト ワインディングロード。バット アイ セレクト コース イズ ショートカットルート。 」と答えたところ、「no,no,very
good drive.thank you.」と再び握手。丁寧な運転に国境はないことを確信しました。
そう言えば、今から20年位前、東北のピアノ教室のテレビコマーシャルで「音楽は言葉を超える。」と言うのがありましたが、「丁寧な運転は言葉を超える。」と言うのもアリかなぁと感じた一件でした。