秋の箱根旧街道散策を楽しむ
今から400年程前、江戸から都の京都へ向かう旅人は箱根の山を越える必要があった。現在なら箱根湯本駅前からバスやタクシーを利用して簡単に行き来することができるが、鉄道や自動車が存在しない時代、自分自身の脚力だけで箱根湯本からの標高差700メートル以上を登らなければならなかったのだ。
箱根旧道沿いに当時の旅人の苦労を感じることができるスポットがある。畑宿から芦ノ湖湖畔迄の石畳が保存整備されている箱根旧街道石畳と呼ばれる場所だ。最初は箱根竹を敷き詰めた道だったが、メンテナンスに膨大な時間とコストがかかることから延宝8年(1680年)に石畳の道が整備された。昭和35年(1960年)には国の史跡に指定されている。
今回、本紙編集長がこの石畳に6年ぶりチャレンジした。秋の散策にお薦めのコースなので、紹介する。今回は箱根旧道沿いの甘酒茶屋を出発して、芦ノ湖湖畔を目指す約1600メートルのコースだ。
甘酒茶屋裏側の山道を10分ほど歩くと一旦箱根旧道に出る。道路の反対側に「箱根旧街道」と書かれた看板が掛かっており、奇麗に敷き詰められた石畳が見える。石畳の左右には無数の杉の木が並んでおり、いきなり江戸時代の旅人になったような気持になる。
この入り口はとても雰囲気が良いので、是非写真を採って欲しいポイントだ。
石畳を進んで行くと所々に看板が設置されていて、石畳の構造や歴史などが紹介されているので、読みながら歩いて行くと楽しい。途中、斜めに溝が造られている処があったが、雨水を街道の外へ流す工夫だろう。350年前の職人の知恵と工夫に感心する。
しばらく進むと、右は展望広場、直進は休憩広場と書かれた標識がある。
右に進むと2~3分で開けた場所に出る。正面に見えるのは二子山だ。残念ながら芦ノ湖や駒ケ岳の眺望は期待できないが、ベンチがあるので、休憩するには丁度良さそうな場所だ。石畳に戻り、さらに進むと下り坂になり、芦ノ湖に向けて一気に下る。
甘酒茶屋出発から50分程で芦ノ湖の湖畔に到着した。江戸時代の旅人の苦労を偲びながら歩くとても楽しい散策だったと編集長はコメントしている。
※上記内容は本紙2024秋号第一版に掲載した記事に加筆修正を加えたものです。
箱根旧街道石畳

