甘酒茶屋

甘酒茶屋

 今回、紹介するのは、旧道沿いにある甘酒茶屋。400年前から続くお休み処で現在の社長は13代目。
 オリジナルの建物は昭和5年(1930年)に発生した豆相地震(北伊豆地震とも言われる)で倒壊、再建したものの火事や老朽化のためにさらに2回建て替えがあり、現在の建物は2009年に建てられたもの。オリジナルの建物を復元したものではないが、古い建材を使い、江戸時代の建物の雰囲気を再現しているため、入り口横の緋毛氈がひかれた縁台に座って甘酒(ノンアルコール・無添加)をいただいていると何だか江戸時代の旅人になったような気分になってくる。

 お店の奥にはひょうたん型の囲炉裏が造られており、天井には当時利用されていた駕籠が展示されている。 
 旧東海道(現旧道)は江戸時代に整備されたが、旅人の疲れをとるために甘酒が振舞われたらしく、箱根には9軒の甘酒茶屋が設けられたらしい。残念ながら、現在残っているのはこの一軒なので、貴重なお店だ。隣接している無料休憩所の奥には資料館があり、大名行列のジオラマや赤穂浪士の一人大高源吾のエピソードが再現されている。なぜ、大高源吾が箱根に登場するのかは、是非現地で確認して欲しい。

 資料館には大高源吾の逸話として紹介されているが、甘酒茶屋には同じ赤穂浪士の神崎与五郎の同様の話が伝承されているのが興味深い。

※上記内容は本紙2021夏号第一版・第二版に掲載した記事に加筆修正を加えたものです。