大涌谷

大涌谷の楽しみ方 謎の構造物は?蒸気井泉とは?

 箱根観光の中で箱根神社、箱根関所と並んで人気があるのは、箱根の中央に位置する大涌谷だろう。
 3000年前の噴火の際に北側の斜面が崩れてできた地形で、この時に早川が堰き止められて芦ノ湖ができたと言われている。

 車でも行くことができるが、時間がある方は、早雲山駅からロープウェイで空中散歩を楽しみながら、眼下に広がる大パノラマを満喫して欲しい。早雲山駅を出てしばらくは緑に覆われた坂が続くが、坂を上り切ると景色が一気に変わる。草木がない荒涼とした斜面のいたるところから噴気が上がっていて、所々硫黄で黄色くなっているところもある。明治時代までは大地獄と呼ばれていた。

 この噴気が上がっている地表をよく見ると所々に建物や煙突のような構造物が見える。これは一体何か。実は大涌谷は噴気が上がってはいるものの、水が少ないため自然に湧出する温泉が少ない。大正の初め、強羅の別荘地を開発したが、温泉が少ないため温泉を供給できなかった。そこで、強羅に温泉を供給するために近所の池から水をくみ上げ、噴気に噴霧して温泉を造成する方法が考え出されそのための施設が建設された。煙突のように見える施設が噴気に水を噴霧して温泉を造成している設備である。自然に湧出する温泉は少ないものの、人工的に理想的な環境で温泉が造成されているため、泉質は非常に良いと言われている。

 興味のある方は、大涌谷の黒たまご館一階にあるジオミュージアム(入場料100円)内で蒸気井泉の仕組みを紹介しているので、立ち寄って欲しい。また、ジオミュージアムでは箱根の地形が形成された過程を綺麗な映像で解説するビデオが上映されているので、こちらもお薦め。
 ジオミュージアムを楽しんだら、2階に上がり、黒たまごをいただこう。5個入り500円。一ついただくと7年長生きできるとか。大涌谷以外では手に入らないので、お帰りの前に忘れずに購入して欲しい。

※上記内容は、本紙2021秋号第一版に掲載した記事に加筆修正を加えたものです。
※黒たまごは昨年値上げしたようで現在は4個入り500円となっています。

大涌谷散策

 箱根を代表する観光スポットである大涌谷は2015年の噴火以来、人気があった散策路への立ち入りが禁止されていたが、噴石シェルターの整備が完了し、安全対策が整ったと判断されたことなどから、2022年3月下旬より監視員が引率した上で、ヘルメット着用、1日4回(1回30名、40分)を条件に玉子茶屋までの往復700メートルの散策ができるようになった。

 本紙では編集長が2022年6月1日10時の回をネットで予約して参加した。
 実施の可否は当日の散策開始時間の30分前に判断されるとのことだったので、9時25分に大涌谷のくろたまご館に到着。
 同館1階のインフォメーションセンターで状況を確認。実施が決定していたため、その場で安全対策協力金500円を支払って、集合場所である延命地蔵尊に向かう。すでに黄色のヘルメットを被った監視員の方数名が待機していたので、インフォメーションセンターで渡された番号が書かれたカードを提示して、白いヘルメットを受け取って準備が完了、開始時間を待つ。
 開始時間になると監視員の方から声がかかり、安全対策の説明や散策のコースなどの説明を受ける。
 監視員の方が危険と判断した場合は散策の途中でも中止、場合によっては7ヶ所設置されているシェルターに非難するそうだ。
 シェルターにはガスマスク、レスキュータオルなどが定員分以上完備しているらしい。

 コースは黒たまごの生産をしている玉子茶屋まで進んで集合場所まで戻るルートだ。
 監視員の方は観光ガイドではないと事前に説明を受けていたが、大涌谷の環境などについての説明をしていただくことができ、非常に興味深かった。散策路の周囲は、噴火の前はもっと草花が育っていたらしいが、ほとんど火山性ガスのために枯れている。
もう元には戻らないらしい。この数年間、大涌谷はくろたまご館周辺からの眺望だけだったが、目の前に噴気を見て大自然の営みを感じることができる。残念ながら神山方面の散策路は散策路が壊れ、整備されていないことなどから散策することはできない。
 監視員の方の話では神山方面の散策路復活は難しいだろうとのことだった。20分ほどで玉子茶屋に到着。玉子茶屋の前にある池は温泉池と呼ばれる黒たまごを作っている池だ。黒たまごは大涌谷の二つの店舗で販売されているが、そのすべてをこの池で作っている。
 帰りは、来た道と並行している散策路を集合場所まで戻る。監視員の方の引率とシェルターの整備で安全に大涌谷の大自然を感じることができる散策だ。興味のある方は是非ネットでご予約を。
 尚、定員は各回30名までなので、特に土日は早めに予約したほうが良さそうだ。また、雨天、霧、雷、強風などの気象条件の日は中止になる場合があるとのことなので、注意が必要だ。

※上記内容は本紙2022夏号第一版・第二版に掲載した記事に加筆修正を加えたものです。