富士屋ホテルを訪ねる~名門ホテルには箱根の歴史が一杯~
箱根で最も有名なホテルと言えば、宮ノ下の富士屋ホテルだろう。明治11年(1878年)創業者の山口仙之助が藤屋旅館を買取り洋館を建て開業、一時は外国人専用のホテルとして営業していたことでも知られている。今も仙之助時代に建造された本館と西洋館、昭和初期、三代目社長の正造の時代に作られた食堂棟と花御殿と呼ばれる歴史的な建造物が残されている。
その富士屋ホテルが2年3ヶ月の改修工事を終え、2020年7月にリニューアルオープン。オープンした7月15日は142年前仙之助が開業したその日である。今回の改修は耐震補強を目的としたものであるが、登録有形文化財である建物の修復も同時に行われ、以前にも増して美しいホテルに仕上がっている。また、併設されたギャラリーやミュージアムも充実しているのが嬉しい。宿泊者以外の方でも宿泊者専用エリア以外の入館は可能なので、時間があれば是非立ち寄りたいスポットだ。見学する時は、正面玄関から入館して左側の通路を進もう。通路の両側がギャラリー。ミュージアムは通路を進んだ奥にある。ミュージアムには富士屋ホテルが所蔵する写真や宿帳、マニュアル、調度品などが展示されている。古いホテルや宿に目がない方にはたまらない空間だ。正面玄関に戻り、ロビー階に上がりバルコニーに出ると花御殿、西洋館、本館、食堂棟が一望することができる。写真を撮るには絶好のポイントだ。来館記念に是非一枚撮りたいところだ。
館内では、他にもラウンジやホテルショップもあるので、併せて利用して欲しいところだ。ランチにはカスケードウイング三階にあるレストラン・カスケードがお薦めだ。大正9年(1920年)に建築された旧宴会場を復原したレストランで贅沢な時間を過ごせる。
※上記内容は本紙2020冬号第一版で掲載した記事に加筆修正を加えたものです。